ガソリン

震災から1週間ちょっと、ナッツにリードをつけたままにしていた。
私も自分の部屋ではなく、1階のリビングに布団を敷いて、服を着たまま寝ていた。
でも水が出たのを機会に、ナッツのリードも外し、私もパジャマで寝ることにした。

でも毎日のように続く余震。
昨日は特に多く、震度1から4まで、何度も揺れた。
だからまたナッツにリードをつけて、私も服に戻した。
もし大きい余震が夜中にきたら、ぺらぺらのパジャマで逃げなきゃいけない。
そりゃ寒い。

今年は春が遠い。
こんなに寒い3月が今まであっただろうか。
未だに真冬の寒さが続く東北地方。
今週もまた何度か雪が降る予報。
避難所はどうなっているのだろう。この寒さはあまりにも気の毒だ。


今日は、冷蔵庫の野菜を総動員して、トン汁を作った。
貴重な野菜をこんなに使って贅沢かもしれないけど、
このまま非常食(?)を続けていると、気持ちが続かないと思った。
ふさぎこんでいるわけにはいかない。
立てる人間は立たなきゃいけない。
早く日常を取り戻し、いつもの自分にならないと、人を助ける事もできない。
そのための贅沢。
野菜をたくさん食べると体にしみわたる。血が巡りはじめる。
野菜はガソリン。


あの日から、線が引かれた。
あっちとこっちへ。
ピアノって何だったのか。
今は音を出す気にもなれず、思い出す事もできず、
もしかしたら、弾き方を覚えてないかもしれない。
そんな感覚に陥る。

でもそんなわけがない。
だからもうちょっと待って。
必ず戻るから。


地方都市にとって、車は足。
ガソリンが普通に買えるようになった時が、日常に戻る時。
安心して車を使えるようになれば、みんながアクティブになる。
災害、救援、とは別次元で、動ける私たちにとってもガソリンは大事。

技術が発達して、より便利に、より快適に、進むところまで進んでしまった。
もしかしたら、必要のないところまで行ってしまったのかもしれない。
進歩することは必要だ。
でも、それがあたりまえになって、今使っている物がかならず過去になる。
カセットテープはどこにいってしまったのか。
技術の恩恵にあずかり、便利や快適を手に入れたのはいいけれど、
それがいかに脆弱なのかを、こういう時に思い知る。
私たちの日常が、こういうものに支えられて成り立っていたなんて、
使っている時は考えもしない。
今は、布巾の1枚さえいとおしい。
[PR]

by kabo518 | 2011-03-21 21:56