赤い牛乳

酪農家が、泣く泣く牛乳を捨てている。
輸送手段がないために。
新鮮な牛乳を。
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少しはなれた地域の牧場で牛乳の無料配布をしていて、我が家もよその家から分けてもらった。

そして、すぐ近くの別の牧場でも牛乳を無料配布しているという情報。
ペットボトルを何本も抱えて出かけてみると、
看板しか見た事がなかったけど、本当に小さな牧場があって、牛が100頭ほどいた。
夕方には搾った生牛乳を捨ててしまうそうで、
それが酪農家にとってどういう事なのか、想像するまでもない。

「エサがないのよ」
牧場主の奥さんが言った。
収入がない上、餌代がかかる。

1枚のプリントが貼ってあった。
厚生労働省から。熱処理して飲むなら配布してもいいという通達。

いきなり押し掛けて、牛乳を下さいという見ず知らずの人たちに、
快く牛乳を分けてくれる。
避難所からも大きな入れ物を持ってもらいに来ていた。

酪農家は牛乳を一般に売ることができない。
生産して業者に売ることしか。
「買います」と言っても、お互いどうにもできない。
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「うちは自家繁殖させてるから、買った牛はいないの。
 だからぜ~んぶ子どもと一緒なの」

空のペットボトルしか持っていかなかった事を恥じた。
家に引き返し、できる限りの食べ物を持ち、牛乳を受け取りに行った。

14リットルもいただいた、貴重な生牛乳。
上までビッチリ入れてくれた。
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ありがとうございます。


家に戻ると、水が出ていた。
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水が出ない時、何度も間違って蛇口に手をやった。
そっか、出ないんだ。何度も間違った。

水が出てから、何度もペットボトルに手を伸ばした。
そっか、出るんだ。何度も間違った。

あたりまえなんだけど、あたりまえじゃなかった。
水が出たらできる事を考えた事はなかったけど、
水が出ないとできない事をたくさん考えされられた。

両手を使って手を洗える。
トイレが流せる。
洗濯ができる。

電気も水も、復旧作業をしてくれた人がいてくれたからこそ。
ガスは壊滅的ダメージで数カ月かかると言われているけど、
こんな小さな人間が、とてつもなく大きな仕事をする。
家でしょんぼりするしかできなかった私には想像もつかないこと。

そして何よりも原発。
甚大な被害を受けた地域の救済と復興。
1人1人の苦しみは、計り知れない。
まだまだ試練は続く。

いわき市を助けてください


☆今日もコメントの返事はごめんなさい
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by kabo518 | 2011-03-19 21:37